2023.01.12
代表よりご挨拶【遂げずばやまじ】
私の趣味は、と聞かれてお答えするのは古民家めぐり(旅)であります。
昨年は自分の中で「都会に残る古家」をテーマに決めて、
東京・横浜・鎌倉・大阪・京都などを一人で旅しました。
理由は、自分の中の何故?の疑問を解決させるためであります。
何故、私は古い建築物が好きなのか?
何故、高層ビルが立ち並ぶ一角に古い建築物が残っているのか?
何故、年数が経てば経つほどノスタルジックな気分になるのか?
自分の中の何故の答えを見つけるためであります。
(人から何故、古い建物が好きかと問われても只々好きなのだとしか答えられなかったのです。)
その古い建物に到着しますと、私は上から下まで
チャンスがあれば床下や天井裏の隅々まで時間をかけて観察します。
マニアックな話、同じ日本建築(伝統工法)でも大工さんの流派や、
その土地土地の伝統で建築様式が微妙に違います。
「この仕事すごいな」とか、
「こんな立派な木材、どこから調達したんだ!」とか、
「この屋根のバランス神やー」とか。
周りの人たちから見たら、ヤバイ奴おるなと思われるぐらい独り言を言いながら観察しているだけであります。
そうして旅をしておりますと、
木村友莉先生(古生物学者)と出会いました。
出会いと申しても、
谷中、東京芸大周辺を歩き回りヘトヘトになったので
涼を求めてたまたま入った上野の国立科学博物館「化石ハンター展」、
そこでのモニターの中での話です。
しかしながら、先生の一言にしびれました。
「何故、先生は恐竜や化石の仕事をしているのですか?」の問いに先生は、
化石を発見したり調査をしていると
「集中しすぎてタイムスリップする。タイムスリップできる。」と言ったのです。
「えっ!」
「自分と同じだ!」であります。
ドラえもんのタイムマシン、どこでもドアの世界です。
間違いなく、当時施主(家族)が夢と希望を持って地元の大工に家づくりを依頼し、
大工が情熱と魂を込めて図面を描き、木材を山師と探し、
限られた道具で製材し、ノコギリや鑿、鉋の手道具を使って、
仲間たちと家を造りあげたのです。
想像しただけで、ワクワクします。
この大黒柱を建てるとき、棟梁とその弟子たちがどんな会話をしたのだろうか。
そもそもどんな家族構成だったのだろうか。
施主は商人?農家さん?など、想像が勝手に膨らみタイムスリップできるのであります。
75年、100年、150年と残っている建築物には共通点があります。
・屋根の美しさ
・構造の美しさ
・景色を取り込む美しさ
・細かくこだわり抜いた大工の技術
そうした、施主と大工が情熱を込めて造った建築物を施主は大事に扱い住んでいきます。
その子どもたちにも親の思いと共に家を引き継いでもらえます。
そのまた子どもたちは、家と家族の歴史が詰まったこの家に感謝して
またその子どもたちに引き継いでいったのです。
美しい家は、地域も守ってくれます。
だから、私たちもおごることなく、
設計・大工の技術を磨いていかなければならないのです。
私たちの設計して造った家が、150年、200年残るってロマンを感じます。
私たちは簡単に建て替えるスクラップ&ビルドの時代はもう終わったと考えております。
まだまだ宮崎では少数派ではありますが、
家を造るなら最低でも3世代先(ひ孫世代)まで受け継いでもらえる家、
リノベーションなら現代レベルまで性能を引き上げることを目標にして、
こだわりを持って美しく、丈夫で長持ちする家づくりを行なっていきます。
終わりに、
M図建築工房の今期目標として
・清武町「岡の小道」4区画の無事完成
・林業(山)と工務店の連携強化(SDGs)
・不動産業への参入
・「技術力」×「人間力」の強化
・「ハレとケ」プロジェクト
これらを念頭に、妥協することなく技術を磨き、
皆さんの家づくりやお店づくりに貢献できたらと思っております。
まだまだやりたい事を書ききることができませんでしたが、
随時ブログやインスタなどで経過・結果を報告できたらと思っております。
━OBさまへ━
本年はM図にとりまして、大きなチャレンジの年となります。
これまで、弊社が前をむいて成長してこられたのも、
私たちに期待して家づくり・店づくりを依頼してくれた施主の皆様のおかげです。
これからも、その期待を裏切ることなく努力を重ねてまいります。
皆様の家族の成長と共に弊社も成長することが
皆様への恩返しかと勝手ながらに思っております。
心より感謝申し上げます。
「遂げずばやまじ」
M図建築工房株式会社 代表取締役 大西正実